地獄の微調整を乗り越える!給食システム入力と食品構成の帳尻合わせ(サイクルメニュー連載 最終回/全5回)

献立作成

料理名が決まり、カレンダーが埋まったら、いよいよ最終工程の**「給食システムへのレシピ入力」です。 ここからは、想像力と計算力の勝負になります。料理名だけでは見えなかった「食材の重複」や「栄養量の過不足」が次々と浮き彫りになり、ひたすら微調整を繰り返す、まさに「サイクルメニュー作成の総仕上げ」**です。

1. システム入力は「食品構成」を使い切るイメージで

前回までは料理名だけで進めてきましたが、ここからは具体的な食材量を入力していきます。

【プロのコツ:想像しながら打つ】 「主菜が筑前煮、副菜が人参とセロリのマリネ…あ、人参が重なったな」 入力しながら、目立つ食材の重複に気づいたらその場で修正します。ステップ2で作った「料理リスト」を横に置き、マリネの人参をパプリカに変えたり、汁物の具を調整したりして、食材被りを防ぎ、料理の表情をバラけさせていきます。

2. 食品構成表は「1ヶ月単位」で帳尻を合わせる

レシピを入力していくと、食品構成表(どの食品群をどれだけ使っているか)が動き出します。

  • 徹底的に合わせようとしない: 1日単位で食品構成を完璧に合わせるのは至難の業です。「今日は野菜が足りないけど、明日は煮物でしっかり使うから大丈夫」というように、1ヶ月(28日間)のトータルで帳尻が合えばOKという広い心で進めましょう。
  • 「端数食材」の活用先: 食品構成上、少しだけ余っている食材があれば、付け合わせや汁物の具に追加しましょう。こうした「小さな調整」が、無駄のない発注と豊かな色彩に繋がります。

3. 効率的な「帳尻合わせ」の優先順位

数値が目標からズレているとき、どこをいじるのが最も効率的でしょうか?

  1. 油脂類・ドレッシング(脂質の調整): サラダのドレッシングを調整する、炒め油の量を微調整する。これが最も手っ取り早く、かつ味への影響を最小限にエネルギーをコントロールできるポイントです。
  2. 主菜の肉・魚の重量(たんぱく質の調整): 「魚60gを70gにする」「肉を少し減らして豆腐を足す」など。ただし、現場の規格(一切れのグラム数)がある場合は、安易に変えすぎないよう注意が必要です。
  3. 付加食・デザート(エネルギーの微調整): あと少しエネルギーが足りないときは、デザート(ゼリーや果物)や、朝食のジャム、ふりかけなどで調整します。

4. 最終栄養量チェック:「1日の完璧」よりも「28日の平均」を狙う

サイクルメニュー最大のメリットは、栄養量が「平均値」で安定することです。

  • 許容範囲を知る: 毎日すべての栄養素を目標値に100%合わせる必要はありません。1日単位では**±5%程度の変動は許容し、「28日間の平均値」が目標値の±3〜5%以内**に収まることを目指しましょう。
  • やっぱり「箱作り」が大切: 箱作りの段階で、主菜が揚げ物の日は副菜でマヨネーズを避けるなどの配慮ができていれば、栄養量は大きくズレません。食材や分量をすべて入力した後でミスに気づくと、修正が本当に大変になります。

5. 「食品構成」との矛盾をどう解消するか

  • 「軸」となる食品を固定する: 主食(米・パン)や牛乳、肉・魚の主要な使用量は、食品構成表の数値を死守します。
  • 「調整枠」を持つ: 野菜類や芋類、砂糖、油脂類は、栄養量を合わせるための「調整枠」と考えます。「野菜は1日350g」という大枠さえ守れていれば、小鉢の野菜を10g増やして帳尻を合わせても大きな問題にはなりません。

6. 最終確認:数字だけでは見えない「満足感」

数値が完璧に合っても、以下のチェックを忘れないでください。

  • ボリューム・味の体感: 数字上は同じ200kcalでも煮物と揚げ物ではボリュームが違います。また、塩分が目標内でも「醤油味」が重なると、患者さんは塩辛く感じます。
  • 彩りの「引き算」を意識する: 一食の中に「赤・黄・緑」が揃っているか確認しますが、全てを鮮やかにしようとすると、かえってごちゃついた印象になります。主菜が地味な茶色系のときは副菜を華やかにし、逆に主菜が鮮やかなときは副菜をシンプルに抑える。この**「引き算」のバランス**こそが、飽きのこない献立に仕上げるコツです。
  • 1週間ごとのバランス(波)を俯瞰する: 「第1週はヘルシーで軽い献立が多いのに、第4週は揚げ物続きで重たすぎる」といった、週ごとの偏りがないか確認しましょう。1週間単位での満足感に差が出ないよう、全体のエネルギーや満足度の「波」を平らにならす作業です。
  • 調理現場への配慮: 「この日は揚げ物が重なっていないか」「この時間帯に回転釜を占領しないか」など、現場の動線がスムーズであればあるほど、料理の完成度は高まります。

最後に:サイクルメニュー作成に挑むあなたへ

全5回にわたってお伝えしてきたサイクルメニュー作成。 一から作るのは想像を絶する大変な作業です。しかし、この苦労の先に待っているのは、**「余裕を持って病棟へ行ける自分」であり、「自信を持っておいしいと言える給食」**です。

もし今、あなたが新しい献立作りの壁にぶつかっているなら、それは管理栄養士として大きく成長できる貴重なチャンスです。患者さんの喜ぶ顔を想像しながら、このパズルを完成させてください。応援しています!

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