献立作成で行き詰まったとき、クックパッドやクラシルなどのレシピサイトは強い味方ですよね。しかし、家庭用のレシピをそのまま病院や施設の献立に転用しても、まず上手くいきません。
なぜなら、家庭料理と病院給食では**「目標塩分量」と「調理のスケール」**が全く違うからです。今回は、ネットのレシピをプロの現場で使える献立にリメイクする具体的な計算・調理テクニックを解説します。
1. レシピサイト活用の方程式
レシピサイトの料理を病院食に取り入れるには、以下の4ステップが必要です。
- 「おいしさ」を確認する(少量で試作)
- 調味料を「容量(cc)」から「重量(g)」に変換し、塩分を計算する
- 目標塩分濃度(0.8~1.0%)に合わせて調整する
- 病院食の「1人前の目安量」に換算し直す
2. 【完全保存版】調味料の容量・重量・塩分換算表
レシピサイトの「大さじ・cc」を、栄養管理で使う「g」に変換するための比較表です。醤油、みそ、ソースなど塩分の多いものは特に注目しましょう。
| 調味料 | 大さじ1(15cc) | 小さじ1(5cc) | 大さじ1当たりの塩分 | 塩分濃度(目安) |
| 食塩 | 18g | 6g | 18.0g | 100% |
| 薄口醤油 | 18g | 6g | 2.9g | 16% |
| 濃口醤油 | 18g | 6g | 2.6g | 14% |
| みそ | 18g | 6g | 2.2g | 12% |
| 甘みそ | 18g | 6g | 1.1g | 6% |
| ウスターソース | 18g | 6g | 1.5g | 8% |
| ケチャップ | 15g | 5g | 0.5g | 3% |
| マヨネーズ | 12g | 4g | 0.2g | 2% |
| マスタード | 15g | 5g | 0.6g | 4% |
| 料理酒 | 15g | 5g | 0.3g | 2% |
| バター/マーガリン | 12g | 4g | 0.1g | – |
| みりん | 18g | 6g | 0g | – |
| ワイン/酢 | 15g | 5g | 0g | – |
| 砂糖 | 9g | 3g | 0g | – |
| グラニュー糖 | 12g | 4g | 0g | – |
| 油 | 12g | 4g | 0g | – |
| いりごま | 9g | 3g | 0g | – |
| 小麦粉/片栗粉 | 9g | 3g | 0g | – |
💡 Comachi’s Check!
醤油・みそ・ソース・ケチャップ・マヨネーズの塩分量をまず覚えましょう。ケチャップやマヨネーズは意外と塩分が少ないため、減塩の味方になります。
3. 実践!レシピの塩分計算とリメイク
例:**「豚肩ロースの角煮(5人前)」**をリメイク
- 材料: 豚肉1kg、生姜30g、根深葱2本、砂糖40g、みりん100cc、料理酒100cc、水300cc、醤油60cc
ステップ①:塩分量を算出する
まずは全ての食材をg換算し、塩分を確認します。
- みりん: 100cc ≒ 120g(塩分0g)
- 料理酒: 100cc ≒ 100g → 塩分2g
- 濃口醤油: 60cc ≒ 72g → 塩分10g(72g × 14%)
- 合計塩分:約12g(塩分濃度:肉重量の約1.2%)
今の状態では塩分濃度1.2%です。目標塩分濃度(0.8〜1.0%)に合わせるため、醤油を20%ほど減らすか、料理酒を日本酒に変えて調整します。
[関連記事:調味料の黄金比と塩分濃度の目安]
ステップ②:病院食の「一人前」に換算する
レシピサイトの「1人前200g(1kg÷5人)」は多すぎるため、施設の目安量(例:肉80g)に合わせて再計算します。
- 豚肩ロース: 80g
- 生姜: 2.5g / 根深葱: 15g
- 砂糖: 3g / みりん: 10g / 日本酒: 8g / 醤油: 6gこのように**「塩分%」を維持したままスライドさせる**のが、プロのレシピリメイク術です。[関連記事:料理ごとの食材目安量の決め方]
4. 大量調理でおいしく仕上げる工夫
大量調理(釜調理)は水分の蒸発率が低いため、以下の工夫が必須です。
- 水・だしは「かなり少なめ」から: 煮詰まりにくいため、最初は控えめに入れ、必要に応じて足します。煮汁が残りすぎると味が薄くなるため、可能な限り煮詰めるのがコツです。
- 塩分は「仕上げ」に入れる: 醤油やみそは残り1/3の時間で投入。表面に塩分を乗せることで、少ない調味料でも「濃い」と感じさせることができます。
- ケチャップの隠し味: 醤油の代わりにケチャップを少量加えると、塩分を抑えつつ味をまとめやすくなります。


マヨネーズ、ケチャップともに日本製と海外製がありますが、海外製の方が塩分濃度が薄いので減塩にはさらにお勧めです。
また、マヨネーズやケチャップ主体の味付けの場合、塩分の濃度を低く抑えないと反対に濃くなりすぎる場合があります。
最後に
レシピサイトの素敵なアイデアを、理論を持って病院仕様にリメイクする。これこそが管理栄養士の腕の見せ所です。
「おいしさ」と「数値」を両立させて、食べる方の笑顔を一緒に増やしていきましょう!
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本記事は当ブログ管理者の私見に基づく内容で構成されています。いかなる場合にも責任は取りかねますのでご理解ください。





