献立作成時に悩むことと言えば調味料の量。
料理を決めたはいいものの、どうしたらよいか悩みますよね。
料理本やネットなどで調味料を検索して参考にしようにも塩分が多いことが大半だと思います。
じゃあその料理は使えないの?と諦める前に、本記事を参考に頂ければと思います。
本内容は当ブログ管理者の私見・経験により作成されています。一参考としてご覧ください。
ではいきましょう。
大量調理の味付けの基本は?
まずはじめに、大量調理における常食の味付けは、一般的な調味料バランスと同じでよいと思います。
ですので、塩分のみを減らしたり、砂糖のみを減らしたりと部分的に調整するのではなく、味の濃淡を考えることが重要です。
そこで重要なのが、塩分濃度と味付けの黄金比です。
では順に説明していきます。
塩分濃度を考える
目標塩分量
病院や施設の食事は、おいしくない、味が薄いというイメージを持たれている方がいらっしゃいます。
薄いと感じる原因は、やはり目標塩分量の少なさでしょう。
日本人の平均塩分摂取量は1日10gを超えていますが、”日本人ための食事摂取基準2020”によれば、塩分目標量は、男性で7.5g、女性で6.5gとなっており、塩分制限食の6.0g未満と大差ありません。(とは言うものの、非常に大きな壁ではありますが)
ですので、常食作成の時点で減塩を気にかける必要があるとと同時に、塩分制限食のためにまだ減塩できるという余力を残しておくことが重要です。
また、提供する食事を食べていただくためには、”何でご飯を食べていただくか”をイメージすることがとても重要です。これが本記事の中で最もお伝えしたいことです。
しっかりイメージして塩分濃度を考えていきましょう。
塩分のバランス
ここからは、一回の食事の中で、どのように塩分を割り振るかを考えていきます。
何でご飯を食べていただくか
私は下記のようなイメージで味の濃さを考えています。
- 朝食 :お味噌汁と温小鉢でご飯を食べてもらいたい。その分、冷小鉢はあっさりと。
- 昼食・夕食:メインの大皿でご飯を食べてもらいたい。その分、冷小鉢や付け合わせは薄めに。
各献立作成者によって、何となくこの人が作ったのかなと想像できるのは、このイメージに個人差があるからだと思います。正解はないと思いますので、食べてくれる方の意見を取り入れながら調整をしてみてください。
塩分の配分
例えば学生の実習課題で献立作成をお願いしたとき、本人はメインの大皿でご飯を食べていただこうとイメージした献立なのに、なぜか大皿の味付けが一番薄いことが度々あります。
その原因としては、塩分の配分を意識していないからです。こちらも正解はありませんが、”この料理でご飯を食べてほしい”と考える料理に多くの塩分を分配すべきだと思います。
- 朝食 :味噌汁1g程度、温小鉢0.5g程度、冷小鉢0.5g未満
- 昼食・夕食:大皿1~1.5g、温小鉢0.5g程度、冷小鉢0.5g未満
味が薄くて我慢できるもの、できないもの
これは当ブログ管理者の私見が多く含まれた考えですので、参考までにとどめてほしいですが。
野菜は薄い味付けでよいし、サツマイモは味がついていなくてもいい。肉や魚は味が薄いと嫌
例えば、”魚の煮物+サツマイモ、インゲン”というメニューがあったときに、付け合わせのサツマイモとインゲンは味がなくてもよいから、魚の煮物にはしっかり味がついていてほしいので、大皿の塩分を魚の煮物に集約させます。
こうすることで、少ない塩分量の中でも、味に濃淡(メリハリ)ができて、何となく箸が進むような献立になるような気がしています。
以下、考えをまとめておきます。皆さんも自分なりの感覚や嗜好調査などで得た対象者のご意見をまとめてみると、同じ塩分量でも満足度の高い献立となるかもしれません。
- Q味付けしなくても、何とか食べられるものありますか?
- A
単品料理として味付けしないのは難しいです。付け合わせであれば味付けしなくてもよいものはたくさんありますよ。
サツマイモ(焼き・蒸し)、栗カボチャ(焼き、蒸し)、インゲン、スナップエンドウ、絹さや、アスパラ、ホワイトアスパラ(バター、ブロード)、ピーマン、パプリカ、おくら(焼き)、なす(焼き)、ズッキーニ(焼き)、トマト(生)、きゅうり(生)、とうもろこし(焼き)、キノコ類(強く乾煎り、バターやオリーブオイルでソテー)、etc…
味付けの黄金比を考える
味付け
前述のとおり、基本的な調味料のバランスは、一般的な調味料のバランスでよいと思いますので、献立作成者や各施設の既存のレシピ、あるいは料理本など参考にしましょう。
味付けの黄金比
下記の黄金比は一般的な一般家庭で使える黄金比です。あとは食材量とのバランスで味の濃淡が決定します。
料理の塩分パーセント
料理の塩分パーセントの基準は、食材重量の0.5~1.0%程度で考えるとよいと思います。
実際には作り方、食材、調味料のバランスにもよりますので、味見をしながら調整をしていきましょう。うまみは中に、塩分、糖分は表面につけることで味は濃く感じやすくなります。
また、同量の調味料だとしても、家庭と大量調理では、大量調理の方が味が濃くなります。それは、鍋肌に残る調味料の割合によるものです。試作の際には、2人前程度で作るのではなく、5人前以上で作ることをお勧めします。
塩分% | 料理 | 感じ方 |
3% | 海水 | 食べられる濃さではない |
2% | 濃い | |
0.8~1.0% | メインの大皿、煮物 | ある程度の味付け |
0.8% | 汁物 | だしがきいていればおいしい |
0.6~0.8% | 和え物 | 薄めの味付け |
0.4% | 薄すぎる |
味覚のバランス
これは主観ですので、科学的根拠はわかりませんが、五味は下記のようなバランスをイメージすると調味料の調整に役立つと思います。例えば、酸味を活用することで、塩分が少なくてもおいしく食べられることがあります。また、うまみを活用すると砂糖の減量にも役立つでしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。献立作成は勉強してすぐに身につくスキルではありません。日ごろから情報収集を心がけて、自分なりに理論を持って、続けていたらいつの間にかできるようになるものです。
今はサイクルメニューが主流ですので、献立作成に関わらない方も多いと思いますが、医療職で唯一献立作成ができるのが栄養士です。栄養士が持つ特異性を伸ばしていただければと思います。
本記事が少しでも皆様の参考になれれば幸いです。
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本記事は当ブログ管理者の私見に基づく内容です。いかなる場合には責任は持てませんのでご理解のほどよろしくお願いいたします。