献立の「手札」を増やす料理リスト作成術(サイクルメニュー連載 第2回/全5回)

献立作成

サイクルメニュー作成のステップ1で目標栄養量を決めたら、次に行うのが**「料理リスト(献立のストック)」**の整理です。

「1ヶ月分のメニューを考えるだけで大変なのに、数倍のストックなんて無理…」と感じるかもしれません。しかし、実は「掛け算」の考え方を使えば、レシピの数は爆発的に増やせます。今回は、私が実践している「料理リストの資産化」テクニックを詳しく公開します。


1. なぜ「大量のストック」が必要なのか?

サイクルメニューを1つ作るのに必要な料理数に対し、理想はその3倍のストックです。

  • 理由1 栄養量や食材の被りを調整する際、代わりのメニュー(2軍・3軍)が豊富だと、パズルがスムーズに解ける。
  • 理由2 季節ごとの差し替えや、残食調査の結果を受けた「メニューの入れ替え」が容易になる。

目標は、4週サイクルで最低1,000レシピ(12週なら3,000レシピ)。業界の先輩たちには、10,000レシピを超える強者も存在します。常食だけでなく、その後の病態食展開も控えているため、手札は多いに越したことはありません。一見途方もない数字ですが、次の「マトリックス法」を使えば、誰でも到達可能です。


2. 魔法の「食材× 味付け」マトリックス

副菜、特に和え物のバリエーションに悩む必要はありません。エクセルで以下のようなマトリックス表を作ってみましょう。

和え物の掛け算例:食材×和え衣

食材 × 和え衣土佐和え胡麻和えゆず和え辛子和え磯辺和え
小松菜
ほうれん草
白菜
キャベツ

これだけで 5×5 = 25 通りのレシピが生まれます。さらに素材を2種類組み合わせれば、その数は倍増します。

さらに広がる和え衣のバリエーション例

白和え、お浸し、じゃこ浸し、酢味噌和え、酢の物、木の芽和え、胡麻味噌和え、酢橘和え、辛子酢味噌和え、みぞれ和え、梅和え、くるみ和え、ピーナッツ和え、ずんだ和え、おかか和え、卯の花和え、雲丹和え、明太子和え、納豆和え、とろろ和え、黄身和え、黄身酢和え、松前和え、粕和え、なめろう、塩辛和え、おなめ、菊花和え など


3. 主菜は「素材 × 調理法」で分類する

主菜(肉・魚・卵・大豆製品)は、現場の調理負荷を平準化するために、調理法別にリスト化します。

  • 肉料理(5区分): 焼き、煮、揚げ、蒸し、炒め
  • 魚料理(4区分): 焼き、煮、揚げ、蒸し
プロのコツ

同じ「魚の焼き物」でも、照り焼き、塩焼き、西京焼き、ムニエル…と味付けを展開します。リスト化の際、「大量調理での作業工程」が似ているものをグループ化しておくと、後のステップで調理負荷を分散しやすくなります。


4. 汁物の「軸」を決める「うまみ・甘み」の法則

味噌汁やスープの具材を選ぶとき、以下の「軸」を意識すると悩む時間がゼロになります。

  • 「うまみ軸」の具材: 油揚げ、わかめ、えのき、厚揚げ、肉・肉加工品、魚介類 など
  • 「甘み軸」の具材: 玉ねぎ、キャベツ、大根、さつまいも、かぼちゃ など
  • 「彩り軸」の具材: 人参、ねぎ、ほうれん草、手まり麩、コーン、ミックスビーンズ など

**「うまみ軸1つ + 甘み軸1つ + 彩り軸1つ」**を組み合わせるのが基本。豚汁や呉汁、雷汁などの特徴的な汁物は、別途「味噌ベース・すまし・その他」で整理します。

管理者
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朝の味噌汁は、病態食展開(軟菜やたんぱく制限食など)の負担を減らすため、あえてシンプルな構成にしておくのが実務上のテクニックです。


5. リストは「資産」として育てる

一度作ったエクセルの料理リストは、あなたにとって一生の資産です。

  1. 1軍献立: 喫食率が高く、調理ミスも少ない「鉄板メニュー」
  2. 2軍献立: 悪くないが、少し調整が必要なメニュー
  3. 行事食候補(郷土料理含む): 手間はかかるが、特別感のある華やかなメニュー
  4. 季節メニュー: 特定の時期に輝く旬の献立
管理者
管理者

「病院食に使えそうなもの」だけに絞らず、何でもリストに載せましょう。工夫次第で提供できる日が来るかもしれませんし、栄養指導や普段の食卓を豊かにするヒントにもなります。


さいごに

「料理名が思い浮かばない」のは、センスがないからではなく、単に**「整理されたリスト」**が手元にないだけです。

まずは、あなたが今まで作ったことのある料理を、このマトリックスに当てはめることから始めてみてください。次回(連載第3回)は、このリストを使って実際に4週間の「箱」を埋めていく、パズル構築編をお届けします!

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