【管理栄養士になろうか悩んでいる方必見】男性の私が管理栄養士を目指したきっかけ

管理栄養士を目指したきっかけ 新人用情報

こんにちは。管理栄養士のcomachiです。

最近、管理栄養士をテレビなどのメディアでよく見かけるようになり、管理栄養士という仕事に興味を持つ方も多いようです。私が学生の時は、どちらかと言えばフードコーディネーターの方がテレビに出ていた印象で、その時有名だった管理栄養士は”美人すぎる管理栄養士森崎友紀さん”くらいだったと思います。

よく病院で働いていると、患者さんや実習生、他の職種の方に、「(男性なのに)なぜ管理栄養士になったんですか?」と聞かれることが多々あります。

たしかに、男性の管理栄養士は徐々に増えてきているとは言え、10%程なので、珍しいですよね。学生時代も男性は数人しかいませんでした。

大学受験の際も、「何で?」と担任の先生や同級生にも聞かれたものです。

そんな私が、なぜ管理栄養士を目指そうと思ったのかお話しします。

男性に限ったものではないので、女性の方にも、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

病院管理栄養士を目指そうと思ったきっかけ

入院生活で不安や苦痛を感じている人においしい料理を届けたい

小学生後半くらいから、兄の影響で料理に興味を持ち始め、よく母親に作っていたのを覚えています。次第に友達にも振舞うようになり、いつかは料理に関わる仕事がしたいと思っていました。

じゃあ何故調理師ではなく管理栄養士を目指したのか、

それは、中学生の時に、母の入院姿を見て、「不安や苦痛で心がいっぱいいっぱいになった患者さんに、おいしい料理を食べてもらいたい」と思ったのがきっかけです。

私の母は何を食べてもおいしいと言って残さず食べるような人でした。お世辞にもおいしいとは言えない私の料理でさえおいしいと言って食べていましたし、

そんな母が病院に入院し、バランスのよい病院食に対して、「おいしくない」と言って残していたのを目の当たりにしました。

子供ながらに何故かその光景が印象に残り、母のような入院患者さんにおいしい病院食を作ってあげたい、少しでも病院食を通して前向きな入院生活を送れるようにしたいと思うようになりました。

中学校の担任に相談すると、病院の献立を立てているのは調理師ではなく、管理栄養士だと教えてもらい、中学2年生頃には管理栄養士を目指すようになりました。

同級生のきっかけは

きっかけは人それぞれ何でもよいと思います。

私が在学中に同級生に聞いた栄養の大学に来た理由として、よくあったのが「薬学部に受からなかったから」を筆頭に、「高校が同じ系列」「小学校で栄養教諭として働きたい」「病院で働きたい」「食べることが好き」などなど理由は様々です。

どちらかと言えば総合大学を希望する同級生が多いと思いますので、高校在学中に一緒の目標に進む方というのは少数派だとは思いますが、専門性のある分野はどれもそんなもんだと思います。

実際に働いてみて感じた病院食の難しさ

飲食店やホテルで提供される食事は当然病院食よりも圧倒的においしい料理で、さらに自分の好みに合ったものを選択できます。家庭においても自然と好きなものに偏っていきます。多少は食事制限などで我慢をしたりはするでしょうが、わざわざ苦手なものばかりは食べないと思います。そうやって個人の食習慣が営まれ、少なくともストレスが溜まりすぎない食生活を送っていくのです。

しかしながら、入院患者さんにおいては、不安や苦痛を伴う入院生活に輪をかけて、病院食など限られたものしか食べられません。その限られた食事には苦手なものも含まれますし、量のバランスも違うでしょう。もし味や見た目までいまいちだったら、入院生活の中で心安らぐタイミングがなくなってしまいます。

よく「病院食が入院生活の唯一の楽しみ」という言葉を面接などで聞くことがありますが、それはおいしいから実現する言葉です。おいしくない食事はただの苦痛になりかねません。人員の確保が難しかったり、十分に予算をかけられなかったり、給食運営は難しい部分がたくさんありますが、少なくとも雑にならない、手を抜かない食事を提供したいものです。

管理栄養士は常に患者さんのために最適な食事療法を追求していくプロの集団だと思っています。

管理栄養士になって感じたメリット

では、ここから実際に男性の私が管理栄養士になって感じたメリットをお伝えします。

健康への投資

医療職種全般に言えることですが、自分や家族の健康維持やいざ病気になったときに非常に大きなメリットを感じることができます。特に管理栄養士については、食事という生きていく中で最も大切な部分をしっかり理解することができます。巷に溢れている根拠が定かではないことについても正しく判断でき、病気を予防、あるいは改善の方向に向かわせることができるでしょう。その意味では非常に大きなメリットだと思います。

日常の食事においては、自分に適した食品構成が頭の中に入っており、それを活用できるレベルに達していれば、自然とバランスの良い食事が実践できます。

スーパーでの買い物中も、居酒屋で飲む時も、旅行に行った時も、何となく頭の片隅に栄養バランスを考えている栄養士は多いと思います。だからこそどんな時も食事バランスが大きく崩れることなく、生活習慣病になりにくいのかもしれません。

男性は結構重宝される

男性というだけで、名前を覚えられやすいです。

10数年前に男性用のロッカーを準備できないという理由で採用試験に落ちたことがありますが、最近はそんなことはないと思います。

他の医療関係職種と比較して職域が広い

今は病院で働いていますが、管理栄養士の職域は広く、転職先は他の医療関係職種に比べて多岐にわたります。最も多いのは「病院・施設などの医療介護関係」だと思いますが、それ以外にも「栄養教諭」「大学教員」「保健所」「食品メーカー」「栄養関連のMR」「保育園・幼稚園」「食品卸」など、最近では「フリーランス」も増えてきているようです。

管理栄養士になって感じたデメリット、就職活動時期の注意点

反対に管理栄養士にはデメリットもあると感じています。

給料が比較的安い

下記に病院で働いている医療関係職種と給与を列記します。

  • 医師 年齢50.1歳(7.7年) 月給与1,317,500円 年間賞与等1,140,500円
  • 看護師 年齢41.9歳(9年) 月給与338,200円 年間賞与等794,300円
  • 薬剤師 年齢44.1歳(10.4年) 月給与414,600円 年間賞与等840,400円
  • 放射線技師 年齢41.2歳(14.2年) 月給与362,900円 年間賞与等940,900円
  • 臨床工学士 記載なし
  • PT、OT、ST 年齢34.2歳(7.4年) 月給与290,600円 年間賞与等681,200円
  • 臨床検査技師 40.9歳(11.2年) 月給与320,300円 年間賞与等827,800円
  • 栄養士 年齢39.2歳(8.3年) 月給与263,400円 年間賞与等592,400円

上記の通り、他の職種よりも給与額は低いです。栄養士の中には管理栄養士も含まれます。管理栄養士だけで絞ると栄養士と比較して、月10,000~30,000円ほどは高くなると思いますが、それでも他の職種と同水準〜若干低い水準です。

子育て世代の場合、共働きする方がほとんどです。今の時代どの職業についても同じかもしれませんが、栄養士においては片方の収入だけでは厳しいと思います。

管理栄養士を取得する方法として4年大学(管理栄養士養成施設)を卒業して、国家試験に合格するルートが最もメジャーな選択肢です。40年働くと考えれば、大学に4年間通ったとしても、管理栄養士を取得していた方が最終的には得られる給与の総合計は、2年間の大学費用(管理栄養士養成施設4年‐栄養士養成施設2年)と2年間で得られる給与を差し引いても、プラスになると思われます。ただし、10年程度では回収できません。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査(職種別、100~999人規模企業、男女合算)

視野が狭くなりがち

こちらは管理栄養士だからではなく、大学(管理栄養士養成施設)によっては、そうなりやすいという一例です。

大学(管理栄養士養成施設)に進学し、就職活動時期を迎えると、多数の学生が病院・介護系を志望し、その大半がとりあえず受託給食会社にアプライします。

理由としては、受託給食会社の採用人数が圧倒的に多く、滑り止めで受験をする方がいるからです。当然本命の方もたくさんいらっしゃると思います。

そうなると、だんだんその流れに飲まれやすくなります。

大学入学したての頃から、しっかりとアンテナを張って、いろいろな経験をして、たくさんの先輩や先生方の話を聞いて、ただただその潮流に流されないようにすることが大切です。当然医療関係に進むことは悪いことではありませんし、現に私も進み、そのことに後悔はありません。ただ思ったよりいろんなチャンスがあったなと今更ながら思うことも多いです。

下記に先輩たちが就職先として、どんな分野を目指したのか日本栄養士会のリンクを貼っておきますのでご確認ください。

参考:初めての就職ガイド | 公益社団法人 日本栄養士会 (dietitian.or.jp)

最後に

今後少子高齢化がさらに進み、医療関係職種の需要はより一層増してくると思います。そして、肌感ですが、男性管理栄養士は確実に増えてきています。職場の選択肢はたくさんありますし、今後もっと新しい分野が開かれていくと思います。

「健康第一」という言葉ありますが、仕事を選択する際、ここに重きを置く方にとっては管理栄養士という職業は給与水準以上の価値があるのではないでしょうか。

きっかけなんて人それぞれ。たとえ目指したいと思った目標が少数派だったとしても関係ありません。

仕事の価値を何で図るのか、考えるきっかけになれば幸いです。

今後も、栄養を学びたい方、新人として働いている方に有益な情報をお伝えできればと思います。

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